がんとつきあう
PEG栄養療法
手術後に食事ができないときは
消化器がんの手術後には、術後すぐに食事ができない場合があります。例えば、食道、胃、大腸などを切除すると、ごく早期の場合を別にして、消化管の機能が低下して「食べ物を消化・吸収する」ことができなくなります。こんなときに、胃や腸に小さな孔をあけて、栄養剤を直接流し込むことを、PEG(経皮内視鏡的胃ろう増設術)栄養療法といいます(腸の場合はPEJ栄養療法)。ほかに鼻からチューブ挿入し、経鼻チューブで栄養剤を流し込む場合もあります。胃腸の消化・吸収能力が機能している場合は、栄養を腸から吸収できるので「経腸栄養」となり、消化管の機能が利用できない場合には、点滴で栄養を補充する「静脈栄養」となります。欧米では経腸栄養が広く行われていますが、日本では静脈栄養のほうが多いのが現状です。ただ、経腸栄養には術後の感染症のリスクが少ないという利点があり、消化管の術後で栄養がとれない場合には一考の価値があります。慈恵医大では1996年からPEG(PEJ)療法による栄養管理を積極的に取り入れています。消化器がんの患者さんの早期社会復帰や、進行がんや再発がんの患者さんのQOL(クオリティオブライフ)のアップに役立っているそうです。
消化管の機能が回復すれば除去できる
PEG(PEJ)療法の設置後は自宅で栄養剤を投与することができ、コンパクトなので日常生活の支障もほとんどありません。消化管の機能が回復すれば、簡単に取り外すことができます。胃や腸に挿入している管は細く、管を挿入するためにあけている孔もそれほど大きくありません。管を抜くと、数日で孔は閉じ、傷跡はほとんど残りません。管を抜いたあとに縫合する必要はなく、痛みや違和感も少ないそうです。消毒の必要もなく、入浴して清潔を保つだけで十分です。術後以外にも、手術ができないがんや、再発した食道がん、胃がんなどで栄養が十分とれないとき、抗がん剤治療を受けると食欲が低下しているときには、経腸栄養が有効な場合があります。
PICKUP:がんと免疫の深い関係
健康な人でも体内では、1日に約5000個の細胞が“がん化”していると言われています。しかし全ての人ががんになるわけではありません。それは、風邪のときと同様に、私たちの体に生まれつき備わっている免疫の力によって、がん細胞を排除する機能がきちんとはたらいているからです。
しかし、細胞のなかにある遺伝子が何らかの影響で傷ついてしまい、修復できなくなるとがん細胞へと変化していきます。免疫の力が正常に働いている場合は、がん細胞が増えることはありませんが、免疫力が弱まったり、加齢などによって衰えたりすると、がん細胞の増殖を抑えることができずに、がんが大きくなって正常な細胞の働きを阻害するようになっていくのです。
そこで、免疫の力を強化することでがん細胞を抑えようとする最先端の治療が開発されています。これらは「がん免疫療法」と呼ばれ、すでに実地医療として行われています。最近では手術や抗がん剤、放射線治療に次ぐ第4の治療として、注目を集めています。



