がんとつきあう
心のケアの基礎知識
まずは現実を受け止め、不安を取り除く
がんと診断されると、「もうだめだ」「治らないかもしれない」など、強い不安や絶望を感じてしまうかもしれません。最初の2~3日はほとんどの方が非常に大きな衝撃を受け、なかなか回復することができないといわれています。そして、告知からしばらくして、1~2週間経つと、「どうして自分だけが」「がんになったことのない人にはこの気持ちはわからない」など、行き場のない怒りや、孤独感を覚えるようになります。
このときには、眠れなかったり、イライラしたり、食欲が低下したりといったストレス症状が現れます。ここからさらに時間が経って落ち着いてくると、「自分のがんについて調べてみよう」「どのような治療があるのだろうか」など、情報収集する意欲が出てきたり、がんの治療に積極的に向き合えたりするようになります。人間にはこうした状況に適応する能力(適応能力)が備わっているので、多少時間がかかっても、がん治療に前向きに取り組めるよう、自分の気持ちをコントロールすること(メンタルケア)が大切です。
情報を収集して対応策を考える
ひと言でがんといっても、臓器によって症状や治療方法、治療後の経過は異なります。治りやすいがんがあれば、治りにくいがんもあります。また、早期に発見できれば、からだへの負担が少ない治療となり、再発や転移の不安も少なくてすみます。このような場合は、情報を収集することで安心できるでしょう。逆に、難しいがんや進行しているがんの場合には、情報を収集しても、よくないことばかり想像してしまい、不安や絶望から抜け出しにくくなってしまうことがあります。
また、医師から配慮のない余命宣告を受けてショックを受けたという患者さんの話を聞くことがあります。確かに、治療が難しく術後の経過が厳しいがんはあります。それでも、医療技術は日々進歩し、がんに対する新しい治療法が研究されています。また、がんの治療経過は個人差が大きく、同じ臓器のがんだからといって、同じ経過をたどるわけではありません。希望を捨てず、有効な治療がないか情報を集めたり、いまできることを探したり、あきらめない気持ちが大切です。そうした気持ちを持てるようになれば、自然とストレスとうまくつきあえるようになります。
リラックスして副交感神経を優位にする
そうはいっても、治療中に、常に前向きに考えられるわけではないでしょう。ときには不安になったり、治療効果が上がらないときにはつらくなったりします。こうしたときに気持ちをコントロールすることは難しいかもしれません。そんなときには、マッサージや半身浴などで心身をリラックスさせて、副交感神経が優位になるように心がけましょう。
副交感神経は自律神経というからだをコントロールする神経のひとつで、血圧を下げたり、心拍数を下げたり、心身をリラックスさせるよう働きます。マッサージや半身浴などで副交感神経を優位してからだをリラックスさせれば、気持ちにも作用するとされています。ちなみに、ストレスがかかっているときは、副交感神経と相反する作用を持つ交感神経が優位になっています。副交感神経を優位にすることは、ストレス解消にもつながります。
PICKUP:がんと免疫の深い関係
健康な人でも体内では、1日に約5000個の細胞が“がん化”していると言われています。しかし全ての人ががんになるわけではありません。それは、風邪のときと同様に、私たちの体に生まれつき備わっている免疫の力によって、がん細胞を排除する機能がきちんとはたらいているからです。
しかし、細胞のなかにある遺伝子が何らかの影響で傷ついてしまい、修復できなくなるとがん細胞へと変化していきます。免疫の力が正常に働いている場合は、がん細胞が増えることはありませんが、免疫力が弱まったり、加齢などによって衰えたりすると、がん細胞の増殖を抑えることができずに、がんが大きくなって正常な細胞の働きを阻害するようになっていくのです。
そこで、免疫の力を強化することでがん細胞を抑えようとする最先端の治療が開発されています。これらは「がん免疫療法」と呼ばれ、すでに実地医療として行われています。最近では手術や抗がん剤、放射線治療に次ぐ第4の治療として、注目を集めています。



