各種がん「多発性骨髄腫」の症状と治療
ここでは多発性骨髄腫の進行の過程、それに伴った治療の方法について、わかりやすく解説します。
多発性骨髄腫の治療
多発性骨髄腫は主に、血液中のM蛋白量と骨髄中の骨髄腫細胞の割合、臓器障害、腫瘤(しゅりゅう)の有無により分類されます。
多発性骨髄腫で治療の必要のないもの
「意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)」と呼ばれるものは、M蛋白量や骨髄内の骨髄腫細胞が少なく、症状もまったくありません。多発性骨髄腫でもこのMGUSは治療の必要がなく、長期的に安定している病型です。病気も、検診でたまたま見つかることがほとんどです。
「無症候性骨髄腫」はM蛋白が多く、骨髄の骨髄腫細胞が10%以上であることから多発性骨髄腫の基準に達します。しかし症状はほとんどなく、臓器障害もない病型なので、経過観察を行いながら「症候性骨髄腫」に進行した時点で治療を開始します。
治療が必要な多発性骨髄腫
骨や腎臓、免疫機能に異常がでた時点で「症候性骨髄腫」となり抗がん剤で治療が行われます。多発性骨髄腫は、臓器障害の有無を重視しM蛋白の量や骨髄腫細胞の割合については必ずしも問題にしていません。
多発性骨髄腫の臓器障害には、血中カルシウムの高値(11mg/dl以上)、腎機能の低下(クレアチニンが2mg/dl以上)、貧血(ヘモグロビンが10g/dl以下)、骨の病変、過粘稠度症候群、アミロイドーシス、繰り返す細菌感染(年2回以上)などがあります。このうち1つでも症状が出た場合には、治療が開始されます。また、Mタンパクが検出されないにも関わらず、症状がある場合は「非分泌型骨髄腫」と呼ばれ、症候性骨髄腫と同じ治療を必要とします。
難治がんの代表でも、分子標的薬の登場で長期生存の希望も
かつて多発性骨髄腫は、濃厚な抗がん剤治療を行っても平均生存期間が3年という難治がんの代表でした。しかし、近年相次いでボルテゾミブ、サリドマイド、レナリドミドの分子標的薬が登場したことで、従来の抗がん剤が効かない、あるいは再発した症例に効果を上げ10年以上の長期生存への希望がもたらされています。ボルテゾミブは初発の多発性骨髄腫の患者さんに対する効果も期待される一方、サリドマイド、レナリドミドはがん細胞の増殖を抑え、造血幹細胞移植までの期間の橋渡しとしての使い方も検討されています。
造血幹細胞移植か薬で上手にコントロールしながら
多発性骨髄腫治療の最終的な手立ては、大量の抗がん剤を投与し病状を安定させたうえで造血幹細胞を移植する方法です。ご自身の年齢、自覚症状の程度、治療のリスク(副作用など)をふまえ、主治医とよく相談して長期的な治療方針を決めていきましょう。
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