各種がん「胸腺腫」の症状と治療
ここでは、胸腺とその役割、そして胸腺腫の治療の方法について、わかりやすく解説します。
胸腺腫の治療
胸腺は、あまり知られていない臓器ですが、体の中心、胸の肋骨の後ろにあります。赤ちゃんから幼児までのあいだに、免疫をつかさどる臓器として働きますが、大人になると役目を終えて、退化します。
胸腺は皮膜で覆われていて、胸腺腫の進行は比較的ゆっくりですが、近くには肺や心臓や血管があるので、そこへ広がっていくこともあります。また胸腺腫は、肺がおさめられている胸腔へ、種をまくよいに散らばることがあります。
胸腺腫の発病に男女差はなく、30歳以上に見られます。原因は不明で、ごく少ない症例しかありません。
統一した病期(ステージ)分類はありません
胸腺腫は非常にまれながんなので、治療の基準となる病期分類がありません。ただ経験的にがん腫が胸腺を被う膜を破って、周りの臓器にまで拡がっている(浸潤型といいます)と治療が難しいため、胸腺腫が膜に覆われているか否かで進行度を推測しています。
膜に覆われている間に治療できれば、手術でほぼ治癒が期待できます
胸腺腫の場合、がん細胞が胸腺に止まっている、つまり膜に覆われているケースでは、胸腺全摘手術が治療の第一選択になります。この場合ほぼ治癒が期待できます。やっかいな浸潤型では手術を行った後に、放射線療法や抗がん剤治療を組み合わせます。この場合の5年生存率は約5~6割、リンパ節や遠くの臓器に転移がある場合は約3~4割です。
抗がん剤以外にステロイドホルモンが投与されることもあります
放射線療法は術後の再発予防や手術ができない場合、抗がん剤治療は遠くの臓器にまで転移があるケースや手術前にがん細胞を小さくする目的で事前に投与されることもあります。また、胸腺腫の成長が抑えるためにステロイドホルモンが抗がん剤と併用されることもあります。
極めてまれな術後の後遺症に重症筋無力症があります
胸腺全摘術の後遺症は、ほとんどありません。胸腺の周りの臓器の一部を一緒に切り取った場合は、軽い息切れが起こることがあります。
また極めてまれですが、重症筋無力症が生じることがあります。これは全身の筋力が低下する病気で、継続的に筋肉を動かしているとしだいに力がなくなってくるという症状があります。例えば、目の周りの筋肉ですと瞼が落ちてくる、口のまわりの筋肉の場合、ものが食べにくい、手足の場合、モノと落とす、歩けないなどの症状があります。その場合はすぐに主治医に相談しましょう。
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