各種がん「甲状腺癌」の症状と治療

ここでは、甲状腺癌の種類、甲状腺の特性を生かした独特な治療法について、わかりやすく解説します。

甲状腺癌の治療

甲状腺癌には、「乳頭がん」「濾胞がん」「髄様がん」「未分化がん」の4種類がありますが、全体の9割を占めるのが乳頭がんです。ほかは、濾胞がんが5%ほど、髄様がん、未分化がんはそれぞれ1~2%とごく稀な甲状腺癌です。

乳頭がんは甲状腺温存術で

甲状腺癌の9割は乳頭がんと呼ばれる大人しいがんですが、命に別状がなくてもがん細胞が大きくなると周囲の発声機能や飲み込む機能等を損なうので治療が行われます。日本ではがんの大きさに応じて甲状腺を温存する手術が主流で、良性がんの場合10年生存率は99%と良好です。3cm以上の大きな腫瘍で、肺や骨への転移がある一部の悪性がんでも、7割以上という成績です。

遠隔転移した怖いがんは甲状腺全摘術と放射性ヨードの内服で

内照射療法のカプセル 遠隔転移がある進行した甲状腺癌の場合は、甲状腺を全部摘出した後に放射線を発する放射性ヨードをカプセルに入れて服用して身体の内側から放射性物質を取り込み、がん細胞を殺す「内照射療法」が行われます。甲状腺由来の転移がんがヨードを取り込みやすい性質を利用したものです。

その後、再発を抑えるために甲状腺刺激ホルモンの分泌を抑える薬を飲むこともあります。それは、甲状腺刺激ホルモンは、甲状腺癌細胞の増殖までも刺激することがあると考えられているからです。これをTSH抑制療法といいます。

放射性ヨードによる内照射TSH抑制療法の効果が期待できるのは、乳頭がんと濾胞がんに限られています。しかも、転移したがん細胞が甲状腺の性質を温存している場合のみで、悪性で通常のがんのように変異してしまっては効果が期待できません。

悪性度が高い未分化がんの治療手段は皆無であるのが現状

甲状腺癌の1~2%を占め、最も悪性度が高い「未分化がん」では、首のしこりが急激に大きくなり、同時に声がでない、物が飲み込めないなどの辛い症状が発生します。残念ながら未分化がんではほとんど確立された治療手段がなく、1年以上生存することは稀です。

放射性ヨード治療中の注意点

放射性ヨード治療の副作用は首や耳の下の腫れ、味覚異常、白血球の減少などですが、普通の放射線療法よりも弱く、治療後に自然に回復します。やっかいなのは、微弱とはいえ患者さん自身が放射線源になる点です。このため、服用中の1週間は入院加療が基本であり、退院後も1~2週間は妊婦や子供との接触を避ける、排泄後に2度流すなど生活上の注意が必要です。

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