ノーベル賞学者が発見した免疫療法について
2011年のノーベル賞受賞者、故スタインマン博士が自身のすい臓がんに対して、博士が発見した樹状細胞で治療(樹状細胞ワクチン療法)を行っていたことが明らかとなりましたが、日本においても進行したすい臓がんに対して博士の技術を応用した樹状細胞ワクチン療法を行い、世界的にも実績を上げている医療機関の成果がありますので紹介いたします。
その治療実績については、米国の科学雑誌「PANCREAS」という膵臓専門誌で、日本の医療機関がすい臓がんに対する樹状細胞ワクチン療法についての成果を最近発表しています。
この医療機関によると、これまで受けられてきた、あらゆるがん治療で反応しなかった進行すい臓がんの患者に対して、標準的な抗がん剤治療であるジェムシタビン(GEM)および、またはTS-1(S-1)を持いた患者に対してWT1ペプチドという物質等を用いた樹状細胞ワクチン療法を行ったところ、樹状細胞ワクチン療法を行った患者の生存日数が優位に伸びる傾向があることが明らかになったこと、それに加えて他の免疫療法を加えることで、加えなかった患者より、長く生存する可能性があることが明らかにしています。
すい臓がんは早期発見が難しく、進行したすい臓がん、特にステージⅣ期ですと5年生存は10%程度であり、まだまだ治療成績も良好とはいえません。しかし樹状細胞ワクチン療法をはじめとして、種々の補助療法を組み合わせることにより、次第に治療成績も向上していくと考えられます。
| 論文 | Kimura・Y・et・al.,Pancreas.2011 |
|---|---|
| 医療機関 | セレンクリニック東京 |
| 題名 | 進行膵臓癌に対する抗がん剤(GEM/S-1)併用樹状細胞ワクチン療法の臨床効果 |
| 背景 | 進行膵癌は難治性かつ予後不良である、標準治療の効果には限界がある。今回、前治療不応の進行膵臓癌症例に対して、標準化学療法剤であるGemcitabine(GEM)および/あるいはS-1に樹状細胞ワクチン療法を併用された膵臓癌患者49例をレトロスペクティブに解析した。 |
| 結果 | 49名のうち、2名が完全寛解、5名が部分寛解、10名が進行停止だった。今回のコホート研究では生存期間の延長の可能性が高いことが示された(生存期間中央値、360日)。樹状細胞ワクチン療法と化学療法の併用に加えLAK療法を行った患者の生存期間は、LAK療法を行わず化学療法の併用のみの患者と比較して延長していた。がん抗原特異的な細胞障害性T細胞の増加と制御性T細胞の減少は、数人の患者に見られたが、全生存期間の延長は、制御性T細胞の減少のみに関連性がある傾向がみられた。治療期間中にグレード3以上の有害事象はなかった。 |
| 結論 | 化学療法を併用した樹状細胞ワクチン療法を基盤とした免疫療法は、標準治療抵抗性の進行膵がんに対して安全であり、効果的である可能性が示された。 |
PICKUP:標準治療その先に(第4のがん治療)
がんと診断された時には、「すでに手術が行えない」「転移を起こしている」といったことが多々あります。そうした場合、抗がん剤や放射線が効きにくく非常に治療が難しいとされているのです。
そこで、現在注目されているのが「免疫療法」。
免疫治療は、手術・抗がん剤・放射線治療といった今受けている標準治療に加えることで、治療効果が期待できるため、「第4のがん治療」として注目されています。
当サイトでは、日本全国の中から、この免疫療法を実施している医療機関をピックアップしています。



