各種がんの症状と治療

脳・神経

小児脳腫瘍の症状

子供の脳腫瘍は白血病などに次いで多い小児がんです。「星細胞腫(せいさいぼうしゅ)」や、小脳の未成熟な神経細胞から生じる「髄芽腫(ずいがしゅ)」などの、小児脳腫瘍の症状の特徴、予想される診断を解説します。

小児脳腫瘍の治療

一般に手術と術後の放射線治療が主体です。手術療法は、脳の正常な機能を傷つけないように細心の注意を払いながら、がん細胞を摘出する方法です。小児脳腫瘍の治療と予後について解説します。

成人脳腫瘍の症状

脳細胞から発生する原発性脳腫瘍とほかの臓器のがんが脳に転移して発生する転移性脳腫瘍の2種類の症状の特徴、予想される診断を解説します。

成人脳腫瘍の治療

手術で患部を全部摘出することが最も有効とされ、良性がんのほとんどが治癒すると言われます。がんの発生部位によっては全摘が難しいため、術後に放射線療法や抗がん剤を使った薬物療法を追加します。

口・のど

咽頭癌、喉頭がんの症状

咽頭癌、喉頭がんともに患者数はさほど多くはありませんが、喫煙者で大量飲酒癖がある人ほど発症しやすいことが知られています。また、発症率、死亡率ともに男性が高く、発症年齢は50~80代が多いです。

咽頭癌、喉頭がんの治療

部位によって対策すべき方法が全く違う、咽頭がんと喉頭がんの治療法。例えば上咽頭がんは早期がんであっても放射線療法が主体、また抗がん剤による治療を補助的に行うこともあります。中咽頭がん治療は手術が主体です。

甲状腺癌の症状

のどぼとけのすぐ下に位置する臓器、甲状腺癌の治療法と症状を解説します。発症リスクが低く、比較的大人しい良性がんが多いのですが、極めて悪性のがんが混じっていることもまれにあります。

甲状腺癌の治療

甲状腺癌の約9割は乳頭がんと呼ばれる比較的大人しいがんですが、命に別状がなくても、がん細胞が大きくなると周囲の発声機能や飲み込む機能を損なうので、やはり治療が行われます。

口腔がん、舌がんの症状

あまり聞きなれない方もいるかもしれませんが、口腔がんは口のなかにできるがんの総称です。全体の2%程度に過ぎませんが、近年発症率、死亡率ともに増加傾向にあります。

口腔がん、舌がんの治療

口腔がんの根治的治療は、手術です。ですが最近は、話す、食べる、飲み込むといった大切な口腔の機能を守るために放射線治療を選択する方が増えてきました。

胸部

肺がんの症状

全てのがんによる死亡率の高さで、日本人の男性第1位、女性第2位を占める肺がん。喫煙、受動喫煙が発症の危険因子であり、喫煙開始年齢が若く、喫煙量が多いほどがんになりやすいので、注意が必要です。

肺がんの治療

近年の肺がん治療において、抗がん剤に分子標的薬を組み合わせる方法が注目されています。その特徴は、事前に標的遺伝子の有無を調べることで、副作用ばかりが強く出る危険な投薬を避け、確実に効く人に投与するというものです。

胸腺腫の症状

胸腺は胸骨の真後ろに位置する臓器で、胎児から幼児期にかけて免疫機能の成熟に関与し、成長するにつれて退化していきます。胸腺腫はこの退化した臓器に生じるきわめて珍しいがんです。

胸腺腫の治療

非常にまれながんである胸腺腫の治療は、基準となる病期分類がありません。ただ経験的にがん腫が胸腺を被う膜を破って、周りの臓器にまで拡がっている(浸潤型といいます)と治療が難しいため、胸腺が膜に覆われているか否かで進行度を推測しています。

悪性中皮腫の症状

肺や心臓などの胸にある臓器と胃腸などの臓器を覆う膜の中皮細胞に発生するがんを中皮腫と呼びます。良性と悪性のものがあり、悪性中皮腫は一カ所に生じるケースと進行するにつれて胸膜全体が腫瘍化し、胸膜に近い肺やリンパ節に拡がっていきます。

悪性中皮腫の治療

極めて悪性度が高い悪性中皮腫と闘うには、全ての治療法を総動員する集学的治療が欠かせません。全身状態と体力が許すならば、術前に抗がん剤を投与した上で肺と胸膜を切除し、さらに放射線をあてて完全にがん細胞を死滅させる方法が採られることもあります。

消化管

胃がんの症状

日本人の国民病と言われた胃がんですが、近年は発症率、死亡率ともに減少傾向にあります。しかし、スキルス胃がんと呼ばれる悪性度の高い胃がんは、胃壁にそって微細ながん細胞が拡がっていくため粘膜表面に病変が現れにくく、早期発見が難しい病気です。

胃がんの治療

胃がんの治療で、まず行われるのは手術です。がん細胞が胃粘膜表面にとどまっている場合はお腹を切らずに内視鏡で患部を摘出するだけで済みます。しかしがん細胞が胃粘膜深く、あるいはリンパ節にまで転移している場合は、部分摘出や全摘出、リンパ節の切除も検討されます。

食道癌の症状

食道がんは喉と胃をつなぐ食道を被う粘膜に生じます。喫煙と飲酒が発症リスクであり、男性が女性の5倍以上発症しやすいことが知られています。食道は大動脈や心臓などの大切な臓器に近かったり、転移しやすいことから、早期発見であっても進行がんと見なされます。

食道癌の治療

がん細胞が食道粘膜表面にとどまっている場合は、内視鏡で粘膜を切り取る治療が可能です。粘膜表面からすぐ下の層に達している場合は手術で切除することもあります。

大腸がんの症状

日本人では肺がんの次に多い大腸がん。男性が女性の2倍ほどかかりやすく、50歳以降に増加し始めます。早期に発見すれば、体への負担が少ない内視鏡術でも対応可能です。

大腸がんの治療

大腸がんの治療は手術が基本。手術後に、どれだけ大腸の機能を残せるのか、前立腺や膀胱、子宮といった周りの臓器にいかにダメージを与えずに治療できるのかが焦点となります。

肝・胆・膵

肝癌(肝臓癌)の症状

日本では年間約3万人が新たに肝癌(肝臓癌)と診断されています。多くはHCV、HBVウイルス感染が原因です。したがってまず、感染の有無を調べる血液検査を受けることが肝心です。

肝癌(肝臓癌)の治療

肝臓癌の進行度はがん塊の直径、個数、そして肝臓の中を走る血管にがん細胞が入り込んでいないかどうか、さらに、リンパ節転移の有無と肝臓機能の状態によって治療方針が異なります。

胆管癌、胆のう癌の症状

胆管・胆のう癌は消化酵素の働きを活性化する胆汁の通り道の胆管と胆汁を一時的にためて濃縮する胆のうで発生するがんを指します。膵臓がんとならぶ難治がんのひとつです。

胆管癌、胆のう癌の治療

治療の第1選択は手術です。唯一、根治が期待できる治療法であり、進行している場合も手術対象です。ただ、発生場所によって術式が異なること、周囲にある大切な臓器や血管を守り、術後の合併症に配慮するなど、手術の難易度が高いことでも知られます。

膵臓癌(すい臓がん)の症状

胃の後ろに位置し、インスリンなど大切なホルモンを分泌する膵臓がんは、この数年増加傾向にあります。膵臓がんは早期発見が難しく、治療法も確立していないという難治がんの代表格です。

膵臓癌(すい臓がん)の治療

膵臓がんの根治療法は手術ですが、手術ができる患者数は全体の約2割にとどまります。しかし、「がんワクチン」の臨床試験も進んでいます。膵臓がんは難治がんですが、それ故に常に新しい治療法が試みられています。

泌尿器

腎臓癌の症状

ちょうどあばら骨の一番下あたりの背中側、左右両方に位置する腎臓は、血液をこして尿を作っています。喫煙、肥満といった危険因子以外に、家族の中に腎臓がんを患った方がいる場合は遺伝子検査をおすすめします。

腎臓癌の治療

手術が基本の治療です。最近は4cm以下のがんであれば部分切除術が一般的で、残った腎臓の負担を軽くすることで術後に慢性腎臓病を起こす危険性を減らします。

膀胱がんの症状

膀胱がんの自覚症状は、目に見える血尿と排尿時の痛みです。血尿といっても痛みがないことが特徴で一時的に血尿があっても、数日で治まってしまうことがあります。

膀胱がんの治療

最近は放射線治療と抗がん剤治療を同時に行う化学放射線療法で手術を回避し、膀胱を温存(機能を残すこと)する治療法が一部で行われるようになっています。

前立腺癌の症状

精液をつくる臓器に発生するがんで、65歳以上で増加します。患者数は増加傾向にありますが、死亡率は横ばい状態です。年齢とともに発症するがんで、寿命に影響しないがんも存在します。

前立腺癌の治療

前立腺がんは比較的、進行が遅いがんなので、患者さん本人の年齢とがんタイプによっては積極的に治療すべきかどうかを判断します。おとなしいタイプの前立腺がんは経過観察のみの「待機療法」も選択肢の一つです。

精巣癌の症状

男性ホルモンを分泌し、精子をつくる精巣に発生するがんは、乳幼児期に精巣が陰嚢のなかにおさまっていない「停留精巣」の経験があると、発症しやすいことが知られています。

精巣癌の治療

転移しやすく進行が早いため、精巣癌と診断された時点で精巣を摘出するのが大原則です。

婦人科

乳癌の症状

女性の20人に1人がかかる一方、マンモグラフィーなど検診技術の進歩で早期発見が容易になったこと、さらにこの数年の治療の進歩により生存率が確実に改善されています。

乳癌の治療

比較的早期の場合は、しこりとその周辺を切り取る乳房温存術か、乳房とわきの下のリンパ節を切除する胸筋温存乳房切除術が行われます。再発を予防するために抗がん剤を投与したり、術後に放射線治療を組み合わせる治療法が一般的です。

子宮癌(子宮頸癌)の症状

子宮の入り口付近にできるがんで比較的ゆっくり進行するため、子宮がん検診で早期発見し完治が期待できるがんです。早期子宮頸がんのほとんどは無症状です。

子宮癌(子宮頸癌)の治療

がんの大きさによって治療も変わります。例えば早期発見だった場合は「円錐切除術」が行われます。出産時に、帝王切開になる確率は上がりますが妊娠も可能です。

子宮癌(子宮体癌)の症状

子宮体がんの初期症状はほとんどありません。意識をして検診を受けるようにしましょう。少し進行すると、月経とは無関係の出血や排尿時の痛み、性交時の痛みなどがあります。

子宮癌(子宮体癌)の治療

子宮体がんの治療では子宮と両側の卵巣をいっしょに取り除く手術が基本。がんが内膜内に留まる早期であれば高い治癒率を期待できますが、若い人の場合は妊娠、出産を諦める、卵巣を取るので更年期症状がでるなど辛い選択になりがちです。

卵巣癌の症状

卵巣癌はほとんど自覚症状がないため、早期発見が難しいがんの一つ。転移しやすいタイプの場合は、他の臓器に転移してから腹部の膨らみや息切れなど転移に伴う症状で初めて気がつくことが多いようです。

卵巣癌の治療

卵巣癌はまず手術を行い、摘出した卵巣を調べて治療方針を決定します。つまりお腹を開けてみないと良性なのか、悪性なのか、どこまで転移をしているのかわからないがんでもあるのです。

小児がん

小児癌の症状

生まれてから15歳までに発症するがんを総称して「小児癌」と呼びます。小児癌はまれですが、増殖率が高く進行が早いという特性があります。

小児癌の治療

小児の急性リンパ性白血病は治療が進歩し、ほとんどの患者さんが治癒するようになりました。そのうち半数以上は複数の抗がん剤を組み合わせた薬物治療で対応可能です。

皮膚・骨・筋肉

皮膚がん(悪性黒色腫“メラノーマ”)の症状

悪性黒色腫(メラノーマ)は皮膚がんでも一番悪性度が高く、40~50代での発症率が最も高くなっています。しかも、悪性黒色腫は足のうらに発生することが多く、気づかぬ内に悪化する可能性が高いので注意が必要です。

皮膚がん(悪性黒色腫“メラノーマ”)の治療

悪性黒色腫は初期病変のまわりに衛星のように皮膚転移を起こしていることがあり、皮膚表面からの深さが1〜2mmに止まっているケースでも再発予防のため広範囲を切除します。

骨肉腫の症状

骨肉腫は腫瘍(がん)細胞自体が骨をつくる疾患です。10代に多く、女性より男性に多い傾向があります。最近は抗がん剤による薬物療法や手術治療の進歩で劇的に生存率が改善されています。

骨肉腫の治療

過去、悪性骨肉腫の生存率は1割以下という極めて悪いものでしたが、近年では抗がん剤治療の進歩で、手足を切断するようなこともなく治療することが可能になっています。

脂肪肉腫の症状

脂肪肉腫は体の軟部組織(脂肪や血管、神経など)で脂肪から発生したがんを指します。10万人に2人以下という、とてもまれながんで中〜高齢者に発症します。

脂肪肉腫の治療

脂肪肉腫は悪性度と転移の有無で治療方針が決定されます。腫瘍細胞の悪性度が低く、まだ小さくて転移を起こしていない場合は、周辺の組織を大きく切り取る広範切除術が行われます。

平滑筋肉腫の症状

平滑筋肉腫は10万人に1人という非常にまれな腫瘍です。腹膜・腸間膜タイプはしこりや痛み、吐き気、体重減少など様々な症状を伴い、皮膚タイプは痛みを伴う表面色の変化や潰瘍が主な症状です。

平滑筋肉腫の治療

後腹膜・腸間膜タイプは手術前後に複数の抗がん剤を投与する治療や手術中に放射線を照射する治療法が試みられています。また、手術ができない場合は放射線治療や温熱療法(ハイパーサーミア)や免疫療法も行われます。

横紋筋肉腫の症状

横紋筋肉腫は横紋筋と呼ばれる骨格筋(運動神経に支配される筋肉)から発生する腫瘍で、頭頸部や泌尿器、生殖器、手足に発生します。痛みやしびれなどはありませんが、大きくなり神経を圧迫するようになると、しびれや手足の麻痺などが生じます。

横紋筋肉腫の治療

横紋筋肉腫は手術でとりきれないことが多いので、抗がん剤治療が必須となります。複数の抗がん剤をつかった化学療法を柱に、手術や放射線療法を組み合わせて治療を行います。

血液

慢性・急性骨髄性白血病の症状

慢性・急性骨髄性白血病では血液をつくる細胞ががん化するため、血球の不足による症状が現れます。赤血球が不足すると、貧血、疲れやすい、息切れなどが現れ、白血球が不足すると免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなります。

慢性・急性骨髄性白血病の治療

慢性骨髄性白血病(CML)の治療では、分子標的薬イマチニブが絶大な効果を発揮します。従来の治療法では、あまり効果が上げられなかったのに対し、イマチニブの登場後は、支障なく日常を送るまでに回復する患者さんが年々増加しています。

慢性・急性リンパ性白血病の症状

慢性・急性リンパ性白血病では血液をつくる細胞ががん化するため、血球の不足による症状が現れます。赤血球が不足すると、貧血、疲れやすい、息切れなどが現れ、白血球が不足すると免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなります。

慢性・急性リンパ性白血病の治療

急性リンパ性白血病(ALL)はまず寛解導入療法で、複数の抗がん剤を組み合わせる「多剤併用療法」が基本です。慢性リンパ性白血病(CML)は経過観察を行い、治療もマイルドが基本です。

成人T細胞白血病(ATL)の症状

成人T細胞白血病(ATL)はヒトリンパ好性ウイルス1型(HTLV-1)感染によって、40歳以上になると1000人に1人程度の割合で発症するがんです。免疫機能が落ち込むため、感染症にかかりやすくなり、空気中のカビや寄生虫が原因の感染症に悩まされ、原因不明の発熱やのどの痛み、発疹などが次々に現れます。

成人T細胞白血病(ALT)の治療

ATLは白血病細胞の数や自覚症状、血液検査の結果から、急性型、リンパ腫型、慢性型、くすぶり型に分類されます。ATLは極めて厳しいがんですが、分子標的薬や抗体医薬品など最先端の薬物療法の研究も進んでいます。

多発性骨髄腫の症状

多発性骨髄腫は血液細胞のうち免疫機能の兵隊である成熟B細胞(形質細胞)ががん化する血液がんです。自覚症状で、骨の痛みや、圧迫骨折による腰痛や転倒による骨折を起こすこともあります。

多発性骨髄腫の治療

治療の必要がない「MGUS」から、抗がん剤治療が必要になる「症候性骨髄腫」など、タイプによって治療方針は様々。多発性骨髄腫治療の最終手段は、大量の抗がん剤を投与し病状を安定させたうえで造血幹細胞を移植する方法です。

悪性リンパ腫の症状

悪性リンパ腫は白血球の一つ「リンパ球」ががん化する血液がんの一つ。症状としては、わきの下や足の付け根、鎖骨周りにしこりを発見したり、発熱、体重の減少、異常な寝汗があります。

悪性リンパ腫の治療

日本人に最も多い「B細胞腫瘍」に対しては、抗がん剤(CHOP療法)に分子標的薬のリツキシマブを加えた「R-CHOP療法」が世界標準。「T/NK細胞腫瘍」にはCHOP療法やDeVIC療法、または抗がん剤と放射線治療を同時に行う治療法が実施されます。

その他

家族性腫瘍の症状

人体は通常、備わっている免疫機能や、がん化しやすい遺伝子のキズを修復する能力が、がんの発生を抑えています。しかし、まれに生まれつきがんの増殖を抑える遺伝子「がん抑制遺伝子」に異常(変異)を持つ方がいます。

家族性腫瘍の遺伝

家族性大腸腺腫症(FAP)は大腸粘膜に100個以上のポリープが発生し、癌化するものです。近親者に大腸癌や子宮体癌が多いという特徴があり、家族性が疑われます。乳癌患者さんの母親、姉妹に乳癌がある場合は家族性乳癌を疑います。

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