治療の概略
造血幹細胞移植(骨髄移植、臍帯血移植、末梢血幹細胞移植)
血液のがんに対する治療法
白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの血液のがんには、抗がん剤で治療を行うのが一般的です。この治療で根治する患者さんもいますが、抗がん剤治療だけでは再発の可能性が高く、再発後に抗がん剤治療を行ってもあまり効果が期待できないことが知られています。
そこで、これらのがんに対して行われるのが造血幹細胞移植です。
白血球のタイプが合致しないと移植できない
造血幹細胞移植は、造血幹細胞のドナー(提供者)によって、同種移植と自家移植に分けられます。同種移植は、他人の正常な造血幹細胞を移植します。造血幹細胞を移植するには、HLAという白血球のタイプがドナーと患者さんで一致または類似している必要があります。兄弟姉妹の間でHLAが合う確率は4分の1です。
兄弟姉妹でドナーが見つからない場合は非血縁者から探しますが、非血縁者とHLAが合致する確率は数百人から数万人に1人とされます。臍帯血バンクからの臍帯血移植も、被血縁者からの移植の一種として行われています。
自分の幹細胞を移植する方法もある
患者さん自身の造血幹細胞を移植する方法は自家移植と呼ばれます。治療によって末梢血や骨髄のがん細胞が消失し、患者さんの血液細胞が正常な状態に回復しているときに、患者さん自身の造血幹細胞を採取して凍結保存しておき、移植します。
骨髄の採取には、骨髄、末梢血、臍帯血の3つの方法があります。骨髄採取は、全身麻酔下で腰骨に針を刺して採取します。末梢血からの採取は、顆粒球増殖因子を皮下注射して、末梢血に造血幹細胞が現れたら、造血幹細胞を含んだ白血球を採取します。臍帯血は、新生児の出産時に臍帯から採取されたものが臍帯血バンクで凍結保存されます。
移植前治療のあとに移植が行われる
造血幹細胞移植の前に、移植前治療として、抗がん剤投与や全身放射線照射を行います。通常よりも大量の抗がん剤や放射線を使用して、がん細胞を根絶させ、治癒の可能性を高くすることを目的としています。一方で、口内炎、心筋障害、下痢、膀胱炎、肝機能障害、腎機能異常などの強い副作用が通常よりも出やすくなります。一時的に白血球や赤血球、血小板が減少するため、感染、貧血を起こしやすくなります。
次に、造血幹細胞を移植します。移植前治療で白血球はほとんどない状態になっていますが、移植した造血幹細胞が骨髄に入って白血球をつくるようになるまでおよそ2~3週間かかります。
同種移植の場合、白血球が患者さんの体を異物とみなして攻撃する移植片宿主病(GVHD)が起こりますが、免疫抑制剤で対応します。GVHDは自家移植では起こりません。同種移植では、GVHDと同様の反応ががん細胞に対して働き、再発が抑制される可能性が高まります。
移植した細胞が骨髄で血液をつくり始めた状態を生着といいますが、生着が確認されたら無菌室から一般病棟に移ることができます。
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